聖ヤコブはゼベタイの息子であり、聖ヨハネの兄でペトロとともにイエスの最初に弟子になった方である。イエスの死後、ペトロとヨハネはエルサレムに留まったが、ヤコブはスペインに向かい布教活動を行った。
スペインでの布教活動は不振に終わりエルサレムに戻ったヤコブは、ユダヤの王アグリッパによって斬首され、キリスト十二使徒の中で最初の殉職者となる。しかし、ユダヤの王はヤコブの復活を恐れその地に埋葬することは許さなかった。ヤコブの弟子たちは、彼の遺骸を船に乗せ辿り着いたのがイベリア半島北部のガリシアの海岸だった。弟子たちは女王ルパニに遺骸の埋葬を願い出たが何度も断られ難題を押し付けられる。その度に奇跡が起きて問題を解決し、根負けした女王はキリスト教に改宗し、ヤコブの遺骸の埋葬を許可したという。
その後イベリア半島は6〜7世紀にかけて西ゴート王国が支配しカトリックが普及していく。ところが710年にイスラム国家のウマイヤ朝がイベリア半島に上陸し本格的な侵略が始まった。こうした状況の中、8世紀諸島から国土を取り戻す運動レコンキスタ(Reconquista)が起こる。844年のクラビッホの戦いでは白い馬に乗った聖ヤコブが現れイスラム軍を蹴散らしたという。以降イベリア半島では、聖ヤコブをキリスト教徒勢力がイベリア半島を制圧する行動のシンボルとして熱狂的に崇められスペインの守護聖人となった。
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