2016年6月29日水曜日

巡礼の様子(to Palas de Rei)1


 巡礼中はただひたすらに黙々と歩いていた訳ではない。まず、季節が良かったので、道端に咲く色とりどりの花々を見ながら、美しかったり珍しかったりすると立ち止まる事ができる。巡礼路上に点在する小さな村々の人々の暮らしも垣間見る事ができる。彼らが作っている農作物を見ながら歩くのも面白い。その都度、現地ガイドにスペイン語で何というか尋ねたりするのもまた楽しい。

       

ポルトマリン(Portomarin)

 この日の宿泊地はポルトマリン。宿はrío Miñoと呼ばれるガリシア地方で一番長い川の畔。畑や牧場を所有している広大な敷地でとてものんびりできた。食事やワインも美味しく、20kmの歩きの疲れを癒す最高の環境であった。
 
    

サリア(Sarria)

 いよいよ巡礼のスタート。サリアという街から出発。街中を歩きしばらくすると森の中に入る。ここからは丘陵地帯。森と畑、牧場といった牧歌的な風景が続く。巡礼路は、ほとんどが舗装されていない細い道を歩くことになる。ここで巡礼者とって大切な言葉とモノを紹介したい。
    
 一つ目は「Buen camino!(ブエンカミーノ)」という言葉。スペイン語で「良い巡礼を」という意味である。巡礼者同士がすれ違う時の挨拶になっている。巡礼中は世界各地から来た巡礼者に出会うことができる。多くはヨーロッパ諸国からの巡礼者が多いが、アメリカや中南米、オーストラリアから来た巡礼者にも出会った。アジア人とはほとんど出会うことはなかったが、どこの人であろうがみんな「ブエンカミーノ」と声を掛け合う。
 二つ目は「Mohon(モホン)」。モホンは巡礼路である事を示す標識でサンティアゴまでの距離が記載されている。分かれ道であれば、必ず設置されているので道に迷うことはほとんどない。
 三つ目は「La Credencial(クレデンシャル)」。クレデンシャルはいわゆる巡礼手帳で、巡礼途中のスタンプを押していくための手帳である。スタンプは教会やアルベルゲ、カフェやバルなどにある。1日2個以上押す事が最後に巡礼証明書をもらうための条件となる。

   

アルベルゲ(Albergue)

 巡礼路上にある村々にはアルベルゲと呼ばれる宿泊施設がある。これは巡礼者を対象とした宿で、私営だけでなく、自治体、教会又は修道会が運営している公営のものがある。料金は素泊まりで1泊5〜10ユーロ程度。ベッドは2段ベッドの所が多く、男女の区別なく先着順に好きなところを選べる所が一般的。私が覗いたところは共同のシャワールーム、トイレ、洗濯機が付いていた。食事は付いていなので、近くのカフェやバルに行くようである。学生だったらこんな旅もしてみたい。

  

セブレイロ峠(Cebreiro)

 標高1,300mの峠の集落セブレイロ。ここからガリシア地方の美しい景色が望める。ガリシア地方は大西洋からの湿った空気が流れ込む場所にあり天候が変わりやすく雨も多い。従って森も深くどこか日本と似たような景色であると感じる。これまで持っていたスペインのイメージとは全く違うものである。
 この村も巡礼路の上にあるのでアルベルゲがある。私はバスで来たがアルベルゲにいた巡礼者たちは歩いて来たのだろう。ここに着いたのは午後3時を過ぎていただろうか。巡礼者たちはバルで一息着いた後のビールを楽しんでいた。
 村の小さな趣のある教会に行くと、飛行機が描いた雲が素晴らしい空を見せてくれた。サンティアゴ巡礼の象徴であるホタテ貝のようにも見えて思わずカメラのャッターを切った。つくづく自分はラッキーである。

  

レオン(León)

 次の訪問地はレオン。スペイン北西部、カスティーリャ・イ・レオン州レオン県の県都。この街もサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路途上に位置する。中世にはレオン王国(アストゥリアス王国)の首都が置かれていたため、有名なゴシック様式のレオン大聖堂やその他多くの建造物が残っている。
 西ゴート王国滅亡後イベリア半島はイスラム教徒に支配されていたが、イスラム教徒の支配下では税を支払う代わりに西ゴート式の典礼を維持した「モサラベ」と呼ばれたキリスト教徒たちがいた。アストゥリアス王国は西ゴートの後継者を自認し宗教的政治的目的からイスラム諸国に対抗したが、それがレコンキスタ精神に直接つながるものと考えられている。
 レオン大聖堂は、ブルゴス大聖堂に次ぐスペイン・ゴシック様式の教会であり、世界最大級のステンドグラスのコレクションを有する。この教会で大きなバックパックを背負った日本人女性の学生に出会った。彼女は外国人の女性二人で巡礼の旅をしているという。フランスからピレネーを超えてきたらしい。ここまで500km。そして、ここからサンティアゴ・デ・コンポステーラまではまだ300km以上ある。素晴らしい経験だ。


   

ブルゴス(Burgos)

 最初の宿泊地ブルゴス。カスティーリャ・イ・レオン州・ブルゴス県の県都。サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路途上に位置しており、街中を歩いていると巡礼者をあちらこちらで見かける。
 この街は古代よりケルト人の集落が存在していたが、9世紀末、アストゥリアス王国(レオン王国)によって城塞都市が建設された。標高850メートル程度の丘陵地帯に位置しており、レコンキスタ初期における軍事上の根拠地となる。11世紀よりカスティーリャ王国の都となる。スペインにおいて英雄視されている中世の軍人エル・シッドの出身、活躍の地とされ、街にはエル・シッドの像が建てられている。

 サンタ・マリーア大聖堂(ブルゴス大聖堂)は、ユネスコの世界遺産に登録されており、中世の民族的英雄エル・シッドとその妻などが埋葬されている。朝6時過ぎ。朝日のあたる大聖堂。礼拝のために訪れる信者さんや既に歩き始めている巡礼者を
見つつ、清々しい気持ちになる。